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工場のファンレスPCを選ぶには?放熱の仕組みや事例を解説

工場のファンレスPCを選ぶには?放熱の仕組みや事例を解説

工場でファンレスPCが選ばれるのは、冷却ファンを持たない密閉構造により、粉塵や振動による故障リスクを低減できるためです。一般的なPCでは粉塵を吸い込んでショートや熱暴走を起こしやすい環境でも、ファンレスPCであれば長期的に安定した稼働が期待できます。本記事では、ファンレスPC特有の放熱設計や防塵の仕組み、デメリットを補う選び方から実際の工場での導入事例までを順に解説します。

■ この記事の要約

 • 冷却ファンをなくすことで、ダウンタイムの削減とメンテナンス負担の軽減に寄与する
 • 筐体の密閉による防塵性能と、駆動部品の排除による耐振動性能で故障を未然に防ぐ
 • ヒートシンクを利用して筐体全体から自然空冷で熱を逃がす放熱設計を採用している
 • 高温環境下での処理能力低下や、放熱面積確保による筐体の大型化には注意が必要
 • 導入時は動作温度範囲、IP等級(防塵性能)、設置空間、必要なCPU性能を確認して選定する

工場でファンレスが選ばれる理由

工場の過酷な環境において、ファンレスPCが設備として採用される主要な理由を整理します。

ダウンタイムの生産停止を防ぐ

ファンレスPCは、冷却ファンの停止に起因する熱暴走やシステムダウンを回避しやすく、生産ラインの停止リスクを抑えられます。工場において制御用PCの停止はライン全体の停止に直結し、甚大な経済的損失につながるケースも珍しくありません。可動部品を持たない設計により、過酷な環境下でも長期間にわたって安定した稼働を維持します。

フィルター清掃の工数を削減する

ファンレスPCを導入することで、定期的なフィルター清掃やファン交換の工数を大幅に削減できます。ファン付きの一般的なPCは内部に粉塵を吸い込むため、こまめな清掃作業が必要になります。メンテナンスの手間がかからない構造であれば、設備保全担当者が本来の技術業務に集中できる環境を整えられます。

ファンレスPCが粉塵・故障を低減する仕組み

ファンレスPCが過酷な環境で故障を減らす、具体的な構造の仕組みを解説します。

構造の観点 具体的な要点
異物対策 筐体を密閉して粉塵や油煙の侵入を防ぐ
振動対策 物理的に回転する駆動部品をなくし破損を防ぐ

筐体を密閉して異物の侵入を防ぐ

通風孔を持たない密閉構造の筐体を採用することで、内部への粉塵や水分、油煙の侵入を防ぎます。金属加工や食品製造の現場では、空気中に舞う微細な粒子が基板に付着し、ショートを引き起こす原因となります。密閉設計によって内部基板が保護されるため、粉塵が多い環境でも安定した運用が期待できます。

駆動部品をなくし振動破損を防ぐ

冷却ファンという物理的に回転する駆動部品を排除し、振動による部品破損や脱落のリスクを最小限に抑えます。工場内ではプレス機や搬送装置などから常に振動が発生しており、駆動部品は摩耗による故障の要因になりやすい傾向があります。駆動部が少ないファンレスPCは、振動の強い工作機械の周辺でも安定して稼働しやすい構造といえます。

ファンレスPCの放熱設計と性能

ヒートシンクで熱を逃がす

CPUなどの発熱部品から発生した熱は、熱伝導率の高い素材で作られたヒートシンクを通じて筐体全体へ分散し、自然空冷で外部に放出します。アルミニウム製の波型筐体を採用して表面積を広げることで、放熱効率を高めている製品が一般的です。ファンレスであっても、適切な設計により機器内部を安全な温度域に保ちやすくなります。

高温環境下で処理能力が低下する

周囲の温度が仕様上の上限に近づくと、熱暴走を防ぐためにCPUが自動で処理速度を落とす保護機能が働くことがあります。自然空冷に依存している性質上、夏場の非空調エリアなど極端な高温環境では、本来のパフォーマンスを維持できないケースも少なくありません。そのため、ファンレスPCの性能は設置環境の温度条件と切り離して考えられない点を押さえておく必要があります。

ファンレスPC特有のデメリット

ファンレス設計ゆえに生じる機能的・物理的な制約をあらかじめ把握しておく必要があります。

デメリットの観点 具体的な要点
処理の限界 搭載できるCPUの処理性能に物理的な上限が生まれる
設置の制約 放熱面積を確保する影響で筐体が大型化・重量化しやすい

CPUの処理性能に上限が生まれる

自然空冷で処理できる熱量には限界があるため、ファンレスPCに搭載できるCPUは省電力モデルが中心となり、処理性能に上限が生まれます。高度なAI画像解析や膨大なデータのリアルタイム処理など、極端に負荷の高い作業には適さない場面も存在します。負荷の高い処理を前提とする場合は、ファンレス構造以外の選択肢も含めて検討する余地があります。

面積確保により筐体が大型化する

十分な放熱性能を得るためにヒートシンクを大きく設計する必要があり、同等スペックのファン付きPCと比較して筐体が大型化・重量化する傾向があります。制御盤内や限られたスペースへの設置を想定している場合、物理的なサイズがレイアウトの制約となることもあります。設計段階から設置スペースにゆとりを持たせることがポイントです。

ファンレスPCの選び方

自社の工場環境に適したファンレスPCを選定するための、具体的な基準と確認事項を解説します。

動作温度範囲に収まるか確認する

導入予定場所の最高温度と最低温度を測定し、PCのカタログスペックにある「動作温度範囲」に収まっているかを確認します。周辺の空気を利用して冷却する性質上、特に夏場のピーク時の温度に耐えられるかが稼働安定性の鍵を握ります。空調が効かないエリアでは、より広範な温度帯に対応したモデルを選ぶ必要があります。

IP等級で防塵性能を判断する

現場の粉塵や水分の状況に合わせて、国際規格であるIP等級を確認し、必要な防塵性能を備えたモデルを選定します。微細な粉塵が舞う環境であれば、内部に粉塵が侵入しない完全な防護構造が求められます。オーバースペックによる過剰投資を避けるためにも、環境に応じた適切な等級を見極めることが大切です。

参考:Ingress Protection (IP) ratings

放熱に必要な空間を確保する

ファンレスPCは筐体の表面から熱を逃がすため、設置時には周囲に空気の通り道となる空間を十分に確保します。制御盤の内部などに他の機器と密着させて設置すると、熱がこもってしまい本来の放熱性能を発揮できません。メーカーが推奨するクリアランス(隙間)の数値を守り、風通しの良いレイアウトを設計します。

必要なCPU性能を見極める

生産ラインの制御や画像検査など、目的とする業務に必要なソフトウェアの動作要件から、適切なCPU性能を逆算して選定します。ファンレスPCは性能と発熱がトレードオフの関係にあるため、不必要にハイスペックなモデルを選ぶと熱対策のハードルが上がってしまいます。用途に適したバランスの良い構成を選ぶことが推奨されます。

【関連記事】CPUとマザーボードの正しい選び方と互換性の確認手順

自社に最適な1台が判断できないときは

選定基準を押さえても、現場の温度条件と必要な処理性能が両立する構成を既製品から特定するのは容易ではありません。判断に迷う場合の進め方を整理します。

選択肢 確認する内容
仕様を相談して構成する 用途と設置環境を伝え、部材選定込みで構成を提案してもらう
供給体制を確認する 同一仕様を何年調達できるか、後継品の案内があるかを確認する

BTO/CTOで現場要件に合わせて構成する

どの製品を選ぶべきか判断がつかない場合は、用途と大まかな仕様を提示して構成提案を受ける方法が現実的です。ポートウェルジャパンでは、カタログ製品を組み合わせたBTO/CTOによる日本国内製造に対応しており、標準品ベースの構成であれば1台から調達できます。OSやドライバーのインストール、拡張カードの組み込みまで済ませた状態で出荷できるため、設備側での立ち上げ工数も圧縮できます。

【関連記事】産業用BTO PCコンサルティングサービスのメリット

長期供給とサポート体制を確認する

産業用PCは、導入後に同じ仕様を何年調達できるかが総コストを左右します。ポートウェルジャパンの産業用PCは、一般的に販売開始から10年程度、同一仕様での継続調達に対応しており、部品の製造終了が近づいた際には後継品の提案や最終オーダーの案内を行っています。コンシューマー向けPCのように数年でモデルが入れ替わる前提では、ライン増設のたびに再評価や検証が必要となるため、供給年数と国内サポートの有無は選定段階で確認しておくべき項目です。

【関連記事】意外と知らない?産業用PCにおける長期供給のメリット

ファンレスPCの導入事例

ポートウェルジャパンのファンレスPC「KUBER-2110」は、東芝ライテック株式会社様が提供するクラウドAI画像解析サービス「ViewLED Solution」の専用ゲートウェイ端末として採用されました。

同サービスは、カメラ付きLED照明「ViewLED」で撮影した画像データをクラウド上に保存し、AIで解析する仕組みです。指定エリアへの侵入検知や人流分析、作業分析といったクラウドAIならではの解析により、現場改善効果や経済的効果が期待できるとされています。活用シーンの例には工程監視や安全の管理、作業の管理も挙げられており、工場の見える化を支える端末としてファンレスPCが選ばれた事例といえるでしょう。

【関連記事】【事例】東芝ライテック様「ViewLED Solution」専用ゲートウェイ端末として「KUBER-2110」を採用!

まとめ

工場へのファンレスPC導入は、冷却ファンをなくし密閉構造にすることで、粉塵や振動による故障を防ぎダウンタイムを削減する有効な手段です。動作温度範囲やIP等級、設置空間の確保など、自社の環境に適合する選定基準を満たすことで、長期間にわたる安定した稼働が期待できます。 しかし、現場の過酷な環境に耐えつつ、画像検査や生産管理に必要な処理性能・拡張性を備えたPCを独力で選定するには、専門的な知識と相応の時間が必要です。生産ラインの立ち上げや設備更新のスケジュールが迫る中で、要件に合ったハードウェアの選定や熱設計の検証にまで手が回らないケースも珍しくありません。

工場でのファンレスPC導入をご検討中の方に向けて、ポートウェルジャパンでは小型ファンレスPCやIP規格・MIL-STD規格に対応した高堅牢ボックス型PC、温度拡張対応の広動作温度モデルを主力に、多種多様な産業用PCをラインナップしています。COM/RS-232/RS-485/RS-422、CAN/CAN FD、GPIO、ISA、PCIe、PoE、多ポートLANなどのインターフェースを備えた製品もそろい、既存の制御機器や拡張カードとの接続要件に合わせて選定できます。長期供給(最長10年)により同一仕様のまま継続調達できる点も、保守や横展開を見据える現場では心強いポイントです。ラインナップの詳細は下記よりご覧ください。

▶ 産業用PCの製品一覧


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