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搬送ロボット(AGV・AMR)違いから制御PCの選び方まで解説

搬送ロボット(AGV・AMR)違いから制御PCの選び方まで解説

搬送ロボットとは、工場や倉庫などで部品や製品を自動的に運搬する機械です。本記事では、代表的な種類であるAGVとAMRの違いをはじめ、ロボットを構成する要素、そして性能の要となる制御コンピュータ(産業用PC)の選び方までを順に整理します。

■ この記事の要約

 • 搬送ロボットは主に、磁気テープ等に沿って走るAGVと自律走行するAMRに分かれる
 • AMRはSLAM技術を活用し、障害物を避けながらレイアウト変更にも柔軟に対応する
 • ロボットの性能は、センサー・駆動系・バッテリー・制御コンピュータの4要素で決まる
 • ロボットの頭脳となる制御コンピュータには、耐振動・小型・高い処理性能が必要となる
 • 機種の選定時は、レイアウトの変更頻度や社内システムとの連携性を基準に判断する

搬送ロボットとは(AGV・AMRの基本)

搬送ロボットは、工場や倉庫で人が担っていた運搬作業を自動化し、現場の生産性を高めるための設備です。労働力不足や作業負担の軽減を背景に導入が広がっており、現在はAGVとAMRの2種類が代表的な選択肢として普及しています。ここでは、それぞれの基本的な仕組みを押さえておきましょう。

ロボットの種類 基本的な走行の仕組み
AGV 床面に設置されたガイドに従って決められたルートを走る
AMR ガイドが不要で、自ら周囲の環境を認識して自律的に走る

定められた軌道を正確に移動するAGV

AGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)は、あらかじめ設定された軌道上を正確に移動する搬送ロボットです。床面に貼られた磁気テープや二次元コードなどのガイドラインを読み取りながら走行を続けます。経路が固定されているため、同じルートで大量の荷物を反復して運ぶ工程に適した仕組みです。

目的地まで自律的に走行するAMR

AMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボット)は、ガイドラインなしで目的地まで自律的に走行する搬送ロボットです。搭載したセンサーで周囲の地図を作成し、人や障害物を検知しながら最適なルートを自ら計算して移動します。レイアウト変更が頻繁な現場や、人とロボットが混在する環境で力を発揮する傾向があります。

AGVとAMRの違い(誘導方式・自律走行・SLAM)

AGVとAMRはどちらも搬送ロボットですが、走行ルートの決め方と障害物への対応力に明確な違いがあります。どちらを選ぶかは現場の運用条件に直結するため、導入前に両者の仕組みの差を正確に把握しておくことが重要です。

比較項目 AGVの特徴 AMRの特徴
誘導方式 磁気テープ等の物理的なガイドが必要 ガイド不要(自律走行)
障害物対応 ルート上に障害物があると停止して待機する 障害物を自ら迂回して走行を続ける

誘導方式で決められたルートを走行するAGV

AGVは、床面のガイドに追従して走行する方式のため、導入時にガイドの敷設工事が必要です。ルートを変更する際にもテープの貼り直し作業が発生しますが、仕組みがシンプルな分、機体自体の導入コストは抑えやすいのが特徴です。なお、走行ルート上に障害物がある場合は、その場で停止して待機する仕組みが一般的です。

SLAM技術を用いて自ら経路を探すAMR

AMRの自律走行を支えるのが、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術です。これは走行中にセンサーデータから環境地図の作成と自己位置の推定を同時に行う仕組みで、事前の環境マッピングを済ませれば、すぐに運用を開始できる柔軟性を備えています。

走行中に障害物を検知した場合は、自ら迂回ルートを計算して走行を続けられる点も特徴です。

構成要素(センサー・駆動系・制御コンピュータ・バッテリー)

搬送ロボットは、複数のハードウェアとソフトウェアが緊密に連携して動く精密なシステムです。どの構成要素が欠けても正常な走行は成り立たず、各部品の性能バランスがロボット全体の能力を左右します。ここでは、搬送ロボットを支える4つの主要な構成要素の役割を順に整理します。

構成要素 ロボットにおける主な役割
センサー 障害物の検知や自己位置の推定を行う
駆動系 モーターや車輪で正確な走行と停止を行う
制御コンピュータ センサー情報の処理と走行ルートの計算を担う
バッテリー 稼働に必要な電力を各ユニットへ供給する

障害物や周辺環境を検知するセンサー

ロボットの目となるセンサーは、周囲の環境データを収集して安全な走行を支える部品です。主にLiDAR(レーザースキャナー)や超音波センサー、カメラなどが搭載されています。これらの機器が人や障害物までの距離を瞬時に測り、衝突を防ぐ役割を担っています。

物理的な移動や停止を行う駆動系

駆動系は、計算された走行データに基づいてロボットを物理的に動かす機構です。モーターや減速機、車輪などで構成されています。積載重量が重い場合でも、滑らかに発進・停止し、指定された位置へミリ単位の精度で停止する性能が求められます。

情報処理を担う制御コンピュータ

制御コンピュータは、センサーからの膨大なデータをリアルタイムで処理するロボットの頭脳です。自己位置の推定や最適なルートの再計算、モーターへの駆動指示などを統括します。高度な自律走行を実現するためには、このコンピュータの処理能力が重要な要素となります。

稼働に必要な電力を供給するバッテリー

バッテリーは、モーターや制御機器などロボット全体に電力を供給するエネルギー源です。連続稼働時間を左右する重要な要素であり、主にリチウムイオン電池が採用されています。最近では、稼働の合間に自ら充電ステーションへ戻り、自動で短時間充電を行うシステムが一般的です。

導入メリット(24時間稼働・人件費削減・安全性)

搬送ロボットを導入する目的は、単なる作業の置き換えにとどまりません。人手不足の解消や労働環境の改善、そして生産量の底上げなど、現場が抱える複数の経営課題を同時に解決できる点が大きな魅力です。ここでは、導入によって得られる代表的な3つのメリットを具体的に見ていきます。

導入のメリット 現場にもたらす具体的な効果
24時間稼働 休憩なしで連続稼働し、全体の処理量が増加する
人件費削減 運搬作業の人員を付加価値の高い業務へ配置転換できる
安全性の確保 重量物運搬などの負担を減らし、労働災害を防ぐ

夜間も含めた24時間稼働を実現する

ロボットは疲労を知らないため、昼夜を問わず24時間連続で稼働させることが可能です。人間のように休憩時間やシフト交代による作業の停止が発生しません。結果として、1日あたりの搬送量が大幅に増加し、工場や倉庫全体の生産能力の底上げにつながります。

搬送作業を自動化して人件費を削減する

単純な運搬作業をロボットに代替させることで、物流にかかる人件費を削減できます。労働力不足が深刻化する中、貴重な人的資源を品質管理や複雑な組み立てなど、人間にしかできない付加価値の高い業務へ集中させる環境が整います。

危険な作業を減らし現場の安全を確保する

重量物の運搬やフォークリフトとの交差作業など、現場に潜む危険をロボットが引き受けます。人為的なミスによる荷物の落下や、作業員同士の接触事故のリスクを大幅に低減できる仕組みです。センサーによる安全停止機能も備わっているため、労働災害の発生を防ぐ有効な手段となります。

選び方(環境変化・システム連携・コスト)

搬送ロボットは種類や機種ごとに得意分野が異なるため、自社の現場条件に合わない機種を選ぶと期待した効果が得られません。導入後に「想定と違った」という事態を防ぐには、現場の物理的な環境、既存システムとの相性、投資対効果の3軸で事前に要件を整理することが欠かせません。

選定の観点 確認すべき具体的なポイント
環境変化 レイアウト変更の頻度や現場の運用条件
システム連携 WMSや生産管理システムとの接続性
コスト要件 初期費用と保守費用を含めた投資回収期間

環境変化やレイアウトの変更頻度で選ぶ

工場のライン変更や倉庫の棚の配置換えが頻繁な現場では、ガイド工事が不要なAMRが適しています。一方、数年単位でレイアウトが変わらない固定ルートの搬送であれば、導入コストを抑えやすいAGVで十分な成果を得られるケースも珍しくありません。

既存の社内システムとの連携を重視する

ロボットの運行を最適化するため、自社のWMS(倉庫管理システム)やMES(製造実行システム)と連携できる機種を選定します。システム同士がシームレスにつながることで、注文データや生産計画に連動した無駄のない自動配車が実現します。

費用対効果を算出して予算内に収める

ロボット本体の価格だけでなく、周辺設備の工事費やシステム構築費、導入後の保守費用を含めた総コストで比較します。削減できる人件費や残業代を算出し、何年で投資を回収できるかをシミュレーションした上で、予算に見合う機種を決定することが重要です。

搬送ロボットの「頭脳」を担う制御コンピュータ(産業用PC)の要件

搬送ロボットの走行精度や安全性は、搭載する制御コンピュータの性能に大きく左右されます。ロボットに組み込むPCには、一般的なオフィス用途とは異なり、過酷な環境への耐性や長期にわたる安定供給など、産業機器ならではの特殊な要件が求められます。ここでは、選定時に確認すべき主要な要件を解説します。

必須要件 求められる理由と目的
堅牢性 走行時の振動や現場の粉塵・温度変化に耐えるため
小型設計 ロボット内部の限られたスペースに組み込むため
処理性能 SLAM等の高度な演算を遅延なく実行するため
調達性 ロボットのライフサイクルに合わせた長期供給と仕様変更に対応するため

振動や衝撃に耐える堅牢性を備える

走行中のロボットは常に振動や段差による衝撃を受けており、コンピュータにも高い耐久性が求められます。また、工場や倉庫は温度変化が激しく、粉塵が舞う環境でもあります。ファンレス構造や防塵・広温度範囲に対応した産業用PCを採用し、故障によるシステムダウンを防ぐ必要があります。

省スペースに設置できる小型設計を選ぶ

搬送ロボットは荷物を載せるスペースを最大化するため、制御機器を収める内部空間が限られています。そのため、手のひらサイズや薄型の筐体でありながら、多様なセンサーと接続できるインターフェースを備えた小型の組み込み用PCが選ばれる傾向があります。

【関連記事】小型化が進む産業用PC、その変遷に迫る。

高度な演算を遅延なく実行する処理性能

AMRがカメラやLiDARから取得した大容量のデータを瞬時に解析するには、強力なCPUやGPUが求められます。処理に遅延が生じると、障害物の検知が遅れて衝突事故につながるリスクがあります。現場の安全を担保するためにも、リアルタイム処理に耐えうるハイスペックな産業用PCの搭載が重要となります。

長期供給とカスタマイズに対応できる調達性

搬送ロボットは一度導入すると5年以上にわたって現場で使い続けるケースが大半であり、搭載する制御コンピュータにも同等以上の供給期間が求められます。一般的なオフィス用PCは半年〜1年程度でモデルチェンジが行われ、旧モデルの生産・受注が終了するケースが多い傾向にあります。途中で後継機種への切り替えが発生すると、ソフトウェアの検証や筐体設計のやり直しが必要になります。産業用PCメーカーが提供する長期供給モデルを選定し、ロボットのライフサイクルに合わせた安定調達を確保することが重要です。

また、搬送ロボットはメーカーや用途ごとにセンサーの種類やI/Oの構成が異なるため、標準品をベースに必要なインターフェースを追加・変更できるBTO(Build To Order)やODM対応の柔軟性も選定時の判断基準になります。COM Express やSMARCといったコンピュータ・オン・モジュール規格を採用すれば、CPUモジュールとキャリアボードを分離して設計できるため、将来的な性能アップグレードにも対応しやすくなります。

【関連記事】意外と知らない?産業用PCにおける長期供給のメリット

導入事例

搬送ロボットの代表的な導入事例として、アマゾンジャパン様の取り組みが挙げられます。

同社は2017年に神奈川県の川崎FCへ日本で初めてAmazon Roboticsを導入し、その後、大阪府茨木市に川崎FCから一世代進化させたAmazon Roboticsを備えた茨木FCを立ち上げています。「ドライブ」と呼ばれる小型ロボットが商品棚の下に入り、棚ごと作業ステーションまで自動で搬送する仕組みにより、スタッフが棚入れ・棚出しのためにフロアを移動する工程を削減しました。その結果、収納スペースの効率化や商品を見つける時間の短縮につながり、配送スピード向上にも寄与しているとされています。

参考:「未来の物流」を創るAmazonの技術チーム – About Amazon Japan

まとめ

搬送ロボットの選定は、現場の環境変化への適応力と、ロボットの頭脳となる制御コンピュータの性能を見極める作業です。ガイド敷設の有無、SLAM技術による自律走行の必要性、過酷な環境に耐えうる産業用PCの堅牢性に加え、ロボットのライフサイクルを支える長期供給やカスタマイズ性まで、確認すべき要件は多岐にわたります。

自社だけで最適な構成を判断するには相応の時間がかかり、機構設計から制御システムの構築、各種コンポーネントの選定までを並行して進めると、開発リソースが不足するケースも珍しくありません。

ポートウェルジャパンでは、搬送ロボットの制御に適したファンレス・小型の産業用PCやCOM Expressモジュールを幅広く取り揃えています。全製品で最低5年間の長期供給を保証しており、ロボットのライフサイクルに合わせた安定調達が可能です。1台から対応するBTOや、センサー構成・I/O要件に合わせたODM開発にも対応しているため、試作段階から量産フェーズまでワンストップでご支援します。搬送ロボット向けの制御コンピュータ選定でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

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